紹介
あなたは『炎628』という映画をご存知でしょうか。残虐的と名高い本作を視聴したので、残虐さと感想をお伝えします。なお、この記事はネタバレを含みます。
ハティニ虐殺とは
1943年3月22日、ベラルーシのハティニ村で起こったハティニ虐殺事件は、第二次世界大戦中のナチス・ドイツとその協力者による占領地の民間人に対する残虐な政策と行動を象徴する重要かつ悲劇的な出来事です。
その運命の日、ナチス兵士たちは、ソビエトのパルチザンによるドイツの車列への攻撃に対する報復としてハティニ村に入りました。兵士たちは村人を納屋に追い込み、火を放ち、逃げようとする者を射殺しました。この虐殺で、75人の子供を含む合計149人が命を落としました。
あらすじ
パルチザンへの参加を熱望するフリョーラは、地中から古いライフルを見つけます。彼の無邪気な行動が、悲惨な結果を招くことになります。
検索してはいけない理由
こちらの「検索してはいけない言葉」Wikiでは、『炎628』の危険度を最高の★★★★★とし、視聴者のトラウマになる可能性を指摘しています。
評価
🔴長所
1. リアリティの追求
史実と目撃者の証言に基づいたストーリーを通じて、戦争のトラウマと残虐行為をひるむことなくリアルに描いていることです。この妥協のないアプローチが、他に類を見ない強烈なインパクトを持った反戦映画を生み出しました。
2. 演技の良さ
純粋だったフリョーラは地獄絵図を目撃し、子供とは思えないような老けた表情になっています。鬼気迫る演技により、フリョーラの絶望が伝わってきます。
3. アレクセイ・クラフチェンコの出世作になった
この映画でレジスタンス軍の少年を演じたことは、彼のキャリアの出発点となりました。以降、『異端の鳥』といった多数の戦争映画で軍人を演じています。
🔵短所
1. ペースと構成
序盤のペースが遅く感じました。深遠さを追求しすぎて、最終的には退屈だと感じる場面があります。
2. シュールレアリスム
映画はシュールで幻覚的な要素を取り入れており、これが独特だと感じる人もいます。例えば、ヒトラーの逆再生映像を含む最後のモンタージュのシーンは、賛否両論を呼んでいます。
3.視聴者への精神的負担
「炎628」は、衝撃的な内容で知られており、圧倒されることがあります。戦争の残酷な現実を描くことを避けず、集団殺害や極端な暴力のシーンを含んでいるので、視聴者にとってはトラウマ体験となる可能性があります。特に、集団虐殺のシーンと、女の子の精神崩壊は本当に気分が悪くなります。
『炎628』(1985)
4. 人および動物の倫理的懸念
実弾の使用といった撮影中の過酷な条件は、倫理的な懸念を引き起こしています。特に主人公を演じた未成年のクラフチェンコは、極端な条件にさらされました。ドラマチックな効果のために、出演者の苦しみを利用しているという意見もあります。実は、最も過酷なシーンの前に、クラフチェンコに催眠術をかける試みもありました。
『炎628』(1985)
また、動物の倫理的な疑いがあります。実際に牛が銃撃された*1とのことで、現代の価値観では問題があることは明らかです。
『異端の鳥』との関係性
『炎628』(1985年、エレム・クリモフ監督)と『異端の鳥』(2019年、ヴァーツラフ・マルホウル監督)には、いくつかの共通点があります。両作品とも、戦争の恐怖を描き、若い少年たちの目を通してその無垢が暴力によって破壊される様子を描いています。本作は『異端の鳥』に大きな影響を与えており、クラフチェンコがカメオ出演しています。
結論:戦争映画好きなら観るべきかも
「炎628」は、観客や批評家に強い影響を与えた強力で影響力のある映画です。しかし、その遅いペース、シュールな要素、残虐的な内容、そして制作方法に関する倫理的な懸念を含んでいます。それにもかかわらず、この映画は戦争の恐怖を率直に描き、反戦映画の代表作として評価されています。過酷な環境で制作された、もう二度と撮られないであろう戦争映画でした。
どこで観られるのか
私が調べた限り、配信サービスでの配信は見つかりませんでした。
Youtubeでは本編が観られるものの、日本語字幕がありません。ブルーレイかDVDでの視聴がおすすめです。
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↓5千円程度と少々高価なので、私はセール時に購入しました。