- 動物描写の「本気度」
- 「ウェザーウォール」は何のメタファーか
- ジェンダーと“セクシーすぎる”ガゼル
- グローバル戦略と「アジアの干支」
- あの違和感の正体…「日本語フォント」問題
- カメオ出演とイースターエッグ
- まだ解決していない「食料問題」――“じゃぱりまん”的解決は可能か
- パウバートは、パウバートだ
- サウンドトラック
- おわりに:次は「空」へ?

<以下ネタバレ含む>
動物描写の「本気度」
⋰
— ディズニー・スタジオ(アニメーション)公式 (@DisneyStudioJ_A) 2025年11月16日
📣12/5(金)劇場公開🎬
🐰『#ズートピア2』相関ズー🦊
⋱
警察官として正式なパートナーになった
ジュディとニック💫
突如現れたヘビ🐍ゲイリーをきっかけに#ズートピア 最大の謎に挑む❗️
\#Clubズートピアキャンペーン/
気になるキャラクターを引用投稿へ✍️ pic.twitter.com/nitXy0Ixda
『ズートピア』(2016)のブルーレイ特典映像では、ディズニー・アニマルキングダムや、アフリカでの調査の様子が確認できる。
「ウェザーウォール」は何のメタファーか
本作のキーとなるインフラ「ウェザーウォール」。
表向きは「全動物のための快適な空調システム」だが、その実態は、体温調節が苦手な爬虫類を排除し、居住区を分断する装置だった。しかも、その真の発明者は爬虫類の女性(アグネス)であり、支配層の哺乳類(リンクスリー家)が彼女の功績を奪い、歴史を改竄していたことが明かされる。これは、現実社会における植民地主義や構造的差別を想起させる設定だ。マイノリティの知恵や労働を搾取して成り立つ繁栄。前作もかなり政治的なメッセージを感じたが、その“生々しさ”は、前作の人種差別テーマよりもさらに鋭い。
ジェンダーと“セクシーすぎる”ガゼル
ポップスターのガゼルは今回も議論の的だ。くびれや露出を強調したデザインと、マッチョなトラのダンサーを従えたパフォーマンスは、子供向け映画としてはかなり挑発的だ(前作の衣装と比較してほしい)。「性的対象としての記号」と「自立した女性像」の間で揺れる彼女の姿を見て取れる。いや、そもそもガゼルの性別とは。
グローバル戦略と「アジアの干支」
本作が中国市場で爆発的にヒットしているのは偶然ではない。
重要キャラのゲイリー(ヘビ)に中国系俳優を起用したこと、そしてヘビを「嫌われ者」ではなく「誤解された存在」として描き直し、赤いスカーフなどの意匠を持たせたこと。更に馬・ウィンドダンサー市長も登場する。これらは干支文化を持つアジア圏への明確なアピールだ。リベラルな社会批評と、したたかな市場戦略が同居しているのが、今のディズニーらしさと言える。
あの違和感の正体…「日本語フォント」問題
作品世界に没入したいのに、現実に引き戻される瞬間があった。
それが、日本語ローカライズの文字デザインだ。
万年筆で署名されたはずの特許証が、無機質な角ゴシック体で表示されていたり、新聞の見出しだけ日本語で本文が英語のままだったり。手書き風の英字デザインがあんなに美しいのに、日本語になった途端に事務的なフォントになってしまう「クソダサフォント問題」は、残念ながら本作でも健在だった。
また、何度か観て分かったことだが、序盤の税関職員のシーンでコンテナに入っていたものは、どうやらマタタビのようだ。
字幕版を観れば済む話だろうが、ここは次回作で改善してほしいものだ。
カメオ出演とイースターエッグ
小ネタ探しも楽しい。
ゲームクリエイターの小島秀夫監督が、モグラの警察官「ポール・モールデブラント」役で日本語版カメオ出演しているのは驚きだ。クロウハウザーとのからみで二言ほどであり、作中では不憫な扱いのキャラクターであった。
トカゲ・ヘイスースは服役経験のあるダニー・トレホが演じている。「悪役」として有名な人物だ。
また、雪の迷路でのチェイスシーンは、映画『シャイニング』のクライマックスへの明白なオマージュ。音楽やパウバートの狂気じみた演技は、あの名作を思い起こさせる。
中には『レミーのおいしいレストラン』思わせるシーンも。
まだ解決していない「食料問題」――“じゃぱりまん”的解決は可能か
最後に残るモヤモヤは「食」だ。
『ズートピア2』は「捕食関係を克服した社会」を描きつつ、作中では魚が食料として登場するため、「じゃあ肉食動物は何を食べているのか?」という獣人世界あるあるの疑問がどうしても浮上してしまう。
特に肉食?のはずのニックはアイスだけを食べ続けているのか。パウバートはキャットフードや魚なのか。
ここで思い出すのが『けものフレンズ』の“じゃぱりまん”というアプローチだ。
作中では、フレンズたちが共通して食べられる食料として「じゃぱりまん」が繰り返し登場し、視聴者に「みんな何食べてるの?」問題をあまり考えさせずに世界を成立させている。
追記:監督による2015年のポストを発見した
@Prajzis - in #Zootopia carnivores eat plant-based proteins and insects. Bug-burga is their favorite restaurant - @ByronPHoward - got a pic?
— Jared Bush (@thejaredbush) 2015年10月27日@Prajzis in early versions of the movie they ate fish (which weren't "evolved" and didn't talk) But it confused the rules of the world.
— Jared Bush (@thejaredbush) 2015年10月27日(上記2つのポストの翻訳)『#Zootopia』の世界では、肉食動物は植物性たんぱく質と昆虫を食べています。Bug-burga(バグバーガー)は彼らのお気に入りのレストランです。
初期のバージョンの映画では、彼らは魚を食べていました(魚は“進化”しておらず、しゃべらない存在として扱われていた)。でも、それだとこの世界のルールが分かりにくくなってしまったんです。
グッズにバグバーガーを発見
以下のニックの乗る車両を見てほしい。バグバーガーのマスコットがあり、更には"BUG BURGER"の表記が確認できる。
パウバートは、パウバートだ

先日インターネットを徘徊していたら、パウバートの年齢設定が話題になっていた。
どうやら「監督のポスト由来で◯代らしい」というやつだ。
ここで宣言しておくが、私はパウバート推しである(突然の告白)。
推しの年齢を知った途端に「じゃあこういう性格だろ」「年齢不相応だろ」と決めつけるのは疑問に感じる。
◯代前半だろうが、それ以外だろうが、パウバートの良さは変わらない。パウバートへのエイジハラスメントは受け入れがたい。
サウンドトラック
ガゼルの歌う「Zoo」も良いのだが、あえて劇伴の方を紹介する。
マイケル・ジアッキーノは
- Mr.インクレディブル
- レミーのおいしいレストラン
- カールじいさんの空飛ぶ家
等を担当した、ピクサー映画と関わりが深い作曲家だ。私の個人的なお気に入りは以下の2曲。
おわりに:次は「空」へ?
エンドロール後、ジュディの元に舞い落ちる一枚の羽根。
哺乳類、爬虫類ときて、次回作ではついに「鳥類」が参戦することを示唆してる。
空を飛ぶ彼らは、地上の分断をどう見ていたのか。
本作は娯楽性とメッセージを両立した良作だと思う。続編への期待が、今から止まらない。
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