社会不適合者のシネマ日記

映画・商品レビュー

映画『ロープ』(1948) 感想/ネタバレあり/ヒッチコックの実験的な作品

あらすじ

アルフレッド・ヒッチコック監督が、アメリカで実際に起きた「レオポルドとローブ事件」をもとにした舞台劇を映画化。物語の全編をワンシーンで繋げ、映画内の時間と現実の時間が同時進行するという実験的な手法で描いた。ニューヨークのとあるアパートの一室。大学を出たばかりの青年フィリップとブランドンが同級生を絞殺し、その死体を衣装箱に入れる。殺害の動機は、自分たちが他者より優れていることを証明するためだけだった。2人はさらなるスリルを求め、被害者の父や恋人、恋仇、伯母、そして恩師である大学教授を部屋に招いて晩餐会を開く。犯した罪の恐ろしさに次第に冷静さを失っていくフィリップと、大胆にも死体を見せたい衝動に駆られるブランドンだったが……。教授役に「素晴らしき哉、人生!」のジェームズ・スチュワート

https://eiga.com/movie/50961/

感想

この作品は、2人が殺人を犯してからバレるまでのリアルタイムを、ワンカットで体験できます。非常に緊張感のある作品で、特に遺体の入った衣装箱が開けられそうになるシーンが印象的でした。

一見すると、ワンカットで撮影されているように見えますが、フィルムで連続撮影できる時間には限りがあるため、途中で切り替えが行われています。例えば、カメラで背中を写しているうちに、こっそりとフィルムを切り替えているのです。

ウィキペディア英語版の記事では、いつ映像が切り替わったのかが分かります。

https://en.wikipedia.org/wiki/Rope_(film)

もともとは1924年に起きた事件がもとになっています。同じ事件をもとに、フライシャー監督が「強迫/ロープ殺人事件」(1959)を制作しています。なんと、あのオーソン・ウェルズが出演しているそうです。

この動画は、Amazon Primeで視聴しました。画面の右上に、ときどき白丸記号が表示されます。これは、おそらくチェンジマークだと思います。映画をフィルムで上映していた時代に、映写技師がフィルムを交換するタイミングを判断するためのものです。

私が印象に残っているワンカットの映画は『1917』です。こちらも『ロープ』と同様に、擬似的なワンカットです。

1917 命をかけた伝令 (字幕版)

1917 命をかけた伝令 (字幕版)

  • ジョージ・マッケイ
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カメオ出演

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/3/38/Rope_cameo_screenshot.jpg

セットの夕暮れの窓の外には、赤く光る看板があります。目障りな位置に看板を配置した理由に疑問を感じました。調べてみると、どうやらその看板はヒッチコックを模しているようです。

ヒッチコックは自分で制作した映画に出演することがあります。遊び心のある監督ですね。